専門知識がなくてもご自身で進められるSEO対策を「★（基礎）」「★★（中級）」「★★★（上級）」の3段階に分け、健康診断のようなチェックリスト形式で解説いたします。忙しい個人事業主様や小規模サイト運営者様でも、今日から少しずつ取り組める内容だけを厳選しました。サイト運営はマラソンです。まずは★項目からスタートし、慣れてきたら★★・★★★へ進むことをおすすめします。
目次
★1（基礎） 今日からできる“SEO”チェック
キーワードの絞り込み ― 検索意図という地図を持つ
記事を書く前に「どんな言葉で検索する読者に届けたいか」を必ず決めましょう。
Googleキーワードプランナーやラッコキーワードなどの無料ツールを使い、メインキーワード1語＋補助キーワード2〜3語を抽出します。検索ボリュームが月100〜1000程度の複合語は競合が少なく、初心者でも上位表示を狙いやすい狙い目です。
- チェック①：競合サイト上位10位のタイトルに含まれる語をスプレッドシートで可視化
- チェック②：共起語ツールで足りない補助語を洗い出す
- チェック③：検索意図が「情報収集型」「購入検討型」いずれか分類できるか確認
- チェック④：検索ボリュームが極端に少ないキーワードは別の記事アイデアに回す
こうした工程を踏むことで「どう書くか」ではなく「誰に何を届けるか」がクリアになり、文章構成時の迷いが大幅に減ります。
タイトル＆H1タグの最適化 ― 看板を端的に
タイトルは30字前後にまとめ、メインキーワードをできる限り左側へ配置します。冗長な接続詞や「【】」を多用すると可読性が落ちるため注意してください。H1タグは記事タイトルと同一、または近い文言に設定し、重複を避けることでクローラーへ明確なシグナルを送れます。
- チェック①：Yoast SEOなどプラグインのタイトルプレビューで文字切れが起きていないか
- チェック②：数字・具体性・ベネフィットの3要素が入っているか
- チェック③：H1タグが複数存在しないかHTMLをソース表示で確認
- 失敗例：キーワードを羅列してスパム判定を受け、CTRが1%未満に下落
内部リンクの見直し ― サイト内の回遊
関連性の高い記事同士をテキストリンクで結びましょう。アンカーテキストは「50代 ほうれい線 対策」のように読者の疑問をそのまま書くとクリック率が向上します。リンク切れチェックツール「Dead Link Checker」を用いれば、死活リンクをワンクリックで洗い出せます。
- チェック①：パンくずリストが論理構造を正しく反映しているか
- チェック②：トップ記事へ通じる「親→子→孫」の階層リンクを明示
- チェック③：外部リンクは新しいタブで開く設定になっているか
- チェック④：リンクジュース集中のため重要記事へのリンクは2クリック以内で到達可能か
★★2（中級） 伸び悩みを解消する“SEO”チェック
モバイル体験の最適化 ― スマホファーストは今や常識
モバイルユーザーの割合は全体アクセスの70％超が一般的です。Googleの
PageSpeed Insightsで「Largest Contentful Paint（LCP）≤2.5s」「Interaction to Next Paint（INP）≤200ms」「Cumulative Layout Shift（CLS）≤0.1」を満たしているか確認しましょう。改善例としては画像の遅延読み込み（lazysizes.js導入）やフォント表示遅延の解消（font-display: swap）が有効です。
- チェック①：モバイルビューで「タップ要素が近すぎる」警告が出ていないか
- チェック②：Viewport設定にuser-scalable=noを指定していないか
- チェック③：重要なCTAボタンがファーストビューに収まっているか
- チェック④：モバイル専用広告がCLSを引き起こしていないか
ページ速度アップ ― 待ち時間はバウンスの元
画像はJPEG・PNGからWebPへ変換し、HTMLでは<picture>要素で提供すると平均転送量を約40％削減できます。さらにCMSに「Autoptimize」などのキャッシュ系プラグインを追加し、JavaScriptとCSSの縮小・統合を行いましょう。速度改善はCVRにも直結するため、広告費をかける前に必ず実施したい工程です。
- チェック①：サーバーのPHPバージョンが推奨の8.x以上か
- チェック②：gzipまたはbrotli圧縮が有効になっているか
- チェック③：未使用CSSを削除してPageSpeedスコア10ポイント向上
- 成功例：画像最適化後に直帰率が8％改善し、売上が月5万円増加
リライト＆情報更新 ― 古い記事に若返り注射
公開から90日以上経過した記事は、検索結果で徐々に順位が下落しやすくなります。
サーチコンソールでImpressionが多いのにCTRが低いクエリを探し、タイトルやメタディスクリプションを刷新しましょう。最新統計や2025年版レポートを引用し、800〜1000字の新しい段落を追記すればGoogleが「情報鮮度が高い」と判断しやすくなります。
- チェック①：公開日と更新日を両方表示し、読者に鮮度を示す
- チェック②：古い外部リンク（404）をすべて差し替える
- チェック③：検索意図が変化していないか再調査
- チェック④：構造化データの
dateModifiedを更新
★★★3（上級） 長期成長を狙う“SEO”チェック
スキーママークアップで検索結果をリッチ化
FAQやHow-to、Reviewなど構造化データを追加すると、検索結果に「★評価」「質問ボックス」が表示されクリック率が平均+20％向上すると言われています。JSON-LD形式ならテンプレートをコピペするだけでOK。導入後はRich Results Testでエラーを確認しましょう。
- チェック①：FAQページは1トピックあたり最大8問までに抑える
- チェック②：How-toスキーマでは必ず画像URLを指定
- チェック③：構造化データテストでWarningも0に近づける
- 成功例：FAQリッチリザルトでCTRが3.2%→4.8%へ上昇
E-E-A-Tの強化 ― サイト全体の信頼スコアを上げる
経験（Experience）・専門性（Expertise）・権威性（Authoritativeness）・信頼性（Trust）の4軸は
コンテンツ単体ではなくサイト全体で評価されます。著者プロフィールに資格や実績を明記し、SNSや外部メディアで発信した内容と一貫性を保つことが重要です。医療・金融などYMYL領域では特に厳格にチェックされます。
- チェック①：Aboutページに運営会社情報、所在地、連絡先を明記
- チェック②：専門家監修記事には監修者名と肩書を付記
- チェック③：引用統計は一次ソースを示す
- 失敗例：AI生成記事を量産→内容薄いと判断されインデックス削除
外部リンク戦略 ― 被リンクは推薦状
権威あるドメインからのナチュラルリンクを獲得するには、一次データ（自社アンケートや業界統計）を公開し、引用しやすいインフォグラフィックを添付するのが近道です。寄稿依頼メールを送る際は、相手メディアの読者層と自サイトの親和性を示し、ウィンウィンな価値提案を心がけてください。
- チェック①：業界団体のコラム枠に寄稿し署名リンクを獲得
- チェック②：SNSで「引用自由」な統計画像を配布
- チェック③：プレスリリースをPR TIMESで配信し取材を誘発
- 成功例：業界新聞に載りDR（ドメインレーティング）が5ポイント上昇
チェックリスト活用のコツ
優先順位付け ― 70点主義で回す
すべてを完璧に仕上げるよりも、★を月1、★★を四半期ごと、★★★を半年ごとに振り返るサイクルが効果的です。Googleアナリティクスの「行動フロー」を指標に、離脱が多いページから手を付けるとROIが高まります。
ヒント：チェックシートをGoogleスプレッドシートで管理し、完了列に「✔」を入れるだけで進捗がひと目で分かります。ほぼ無料で使えるので、チーム共有にも便利です。
数値化 ― KPIは“3つ”に絞る
初心者のうちは「検索流入セッション数」「平均掲載順位」「CVR」の3指標に集中しましょう。ダッシュボードはData Studio（現Looker Studio）で作成し、月次レビューシートを自動化すると報告作業も楽になります。
- チェック①：サーチコンソールAPI連携で自動更新
- チェック②：目標CVRは業界平均+1%を設定
よくある質問（FAQ）
Q1. どのくらいの期間で順位は上がりますか？
A. 競合性と施策の質によりますが、基礎施策（★）のみでも3〜4か月でトップ10に入るケースが多いです。特にニッチキーワードは改善が早く、ロングテール対策を徹底すると成果を実感しやすくなります。
Q2. 1人で運営しているので時間が足りません。
A. 優先順位をつけることが鍵です。まずは1日15分、キーワードとタイトルの見直しに充てるだけでも違いが出ます。タスク管理ツール「Trello」でチェックリストを可視化し、達成感を味わいながら進めると継続しやすくなります。
Q3. ペナルティが怖いのですが、どこに気をつければいいですか？
A. 自然な被リンク獲得とオリジナルコンテンツの維持を心がけましょう。自動化ツールで短時間に大量記事を生成したり、リンク購入を行ったりするとManual Actionのリスクが高まります。Google Search Consoleの「セキュリティと手動対策」で常にステータスを確認しておくと安心です。
無料ツール早見表（ブックマーク推奨）
| カテゴリ | ツール名 | 主な用途 |
|---|---|---|
| キーワード調査 | ラッコキーワード | サジェスト取得 |
| Googleキーワードプランナー | 検索ボリューム確認 | |
| 競合分析 | Ubersuggest | 競合URL流入キーワード分析 |
| 内部リンク | Ahrefs Webmaster Tools | 内部リンク分布の可視化 |
| 速度計測 | PageSpeed Insights | モバイル・デスクトップ速度 |
| GTmetrix | 水平方向のボトルネック可視化 | |
| 構造化データ | Rich Results Test | スキーマエラー検証 |
| 順位チェック | GRC（無料版） | キーワード順位推移 |
| コンテンツ品質 | CopyContentDetector | 重複率チェック |
| 被リンク監視 | Search Console Links | 被リンク状況の把握 |
上記ツールはすべて無料プランが利用可能です。まずは使い勝手を試し、必要に応じて有料版へ移行するとコストを抑えつつデータ精度を上げられます。
実践ケーススタディ：ハンドメイド雑貨ブログの例
ここでは、月間PV3,000程度のハンドメイド雑貨ブログが「★→★★→★★★」の流れで施策を実践し、半年でオーガニック流入を3倍に伸ばした事例をご紹介します。
STEP1：★ キーワードとタイトル最適化（1〜2週目）
「ハンドメイド 革 財布」という複合キーワードに狙いを定め、タイトルを「初心者でも作れる革財布の型紙【ハンドメイド手順を写真付き解説】」へ変更。結果、CTRが3.1%→5.4%に改善しました。
STEP2：★★ 速度改善とリライト（2〜8週目）
画像をWebP化し、Lazy Loadを導入。さらに過去記事に材料の最新価格と代替リンクを追記し、平均掲載順位が15位→8位へ。
STEP3：★★★ スキーマと被リンク獲得（3〜6か月目）
How-toスキーマを設置し、完成品ギャラリーをPinterestで共有。DIY専門メディアからの引用リンクが追加され、ドメインオーソリティが28→34に上昇。半年後、月間オーガニック流入は9,500セッションに達しました。
このように段階的に施策を重ねることで、小規模サイトでも大きな成果が期待できます。
まとめ
SEOは一夜にして成果が出る施策ではありませんが、★→★★→★★★と順序立てて改善することで、着実に“検索エンジンと読者の両方から愛されるサイト”へ育ちます。まずは5分でできるキーワード整理から始め、翌週にはページ速度改善、90日後にはサイト全体の信頼性強化——と、小さな成功体験を積み重ねてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が、皆さまのSEOセルフメンテナンスの良きロードマップとなれば幸いです。
参考資料:
Google SEO スターター ガイド
Google Web Vitals
ウェブマスター向け品質に関するガイドライン
