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Looker Studioの内部結合・外部結合・クロス結合の違いと選び方

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Looker Studioの内部結合・外部結合・クロス結合の違いと選び方

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データ分析を行う上で、複数のデータセットを効率的に結合するスキルは不可欠です。Looker Studioでは、内部結合・外部結合・クロス結合といったさまざまな結合方法を使い分けることで、分析の精度を高めることができます。本記事では、それぞれの結合方法の仕組みや具体例を初心者にも分かりやすく解説し、最適な使い方を提案します。データ結合の基本を学び、Looker Studioでの分析をさらに活用してみましょう!

Looker Stuidoの内部結合とは?データ分析の基礎となる結合方法を理解しよう

内部結合は、データ分析において最も基本的でよく使われる結合方法の一つです。これは、二つのデータセットの共通するキー(結合条件)を基にして、共通部分のみを結合して新しいデータセットを作成する方法です。以下で具体的な例やそのメリットを詳しく見ていきましょう。

内部結合の仕組み

今回は、わかりやすくスプレッドシートをLooker Studioに読み込んでデータを表示してみました。

次に、Looker Studioの内部結合の状態を把握するために、2つのデータをセレクトし右クリックからデータの結合を選択します。(この段階でキーを設定していないので、デフォルトではキーを設定する必要の無いクロス結合が適用されます)クロス結合については、最後にお伝えしますのでまずは読み進めてください。

内部結合(Inner Join)の結果は以下の通りです。IDをキーとして、両方のテーブルに存在するデータのみが結合されます。

内部結合(Inner Join)は、2つのテーブル間で共通のキー(この場合は「ID」)を基にして、両方のテーブルに存在するデータのみを結合する方法です。このため、結合結果には「共通部分」だけが含まれることになります。

例えば、「名前」のテーブルには「ID」が1, 2, 3、「購入金額」のテーブルには「ID」が1, 2, 4とそれぞれ異なるIDが含まれています。このとき、内部結合を行うと、両方のテーブルに共通して存在する「ID」1と2のデータだけが結合されます。具体的には、「名前」のテーブルから「山田」と「佐藤」が選ばれ、「購入金額」のテーブルからはそれに対応する「1000円」と「2000円」が結びつけられます。

一方で、「名前」のテーブルにしか存在しないID(例えば「3」)や、「購入金額」のテーブルにしか存在しないID(例えば「4」)は、共通部分ではないため結合結果には含まれません。この仕組みによって、内部結合はデータセットを絞り込み、両方のテーブルに存在するデータだけを取り出すことができます。

要するに、内部結合は「両方のテーブルで条件が一致するデータだけを残す」というルールに基づいており、このルールがデータの重複や無関係なデータの混入を防ぎ、分析の精度を高める役割を果たしています。

Looker Studio外部結合の種類と活用方法:左外部結合・右外部結合・完全外部結合の違い

外部結合には以下の3種類があり、それぞれの動作と結果は異なります。これらはデータの結合条件に合致しない場合でも、データの一部を保持することで、柔軟なデータ結合を可能にします。

左外部結合

左外部結合は、左側のテーブルのすべての行を保持しながら、右側のテーブルと結合条件に一致するデータを結びつけます。一致しない場合、右側のデータは「空(NULL)」として扱われます。

🌟 動作の例
左側(テーブルA)にあるデータはすべて出力されます。
テーブルBに一致するデータがあれば結合し、なければ空欄になります。

🌟 用途例
顧客リスト(テーブルA)に対して、過去の購入データ(テーブルB)を結合する場合、購入がない顧客もリストに残したいときに使用します。

右外部結合

右外部結合は、右側のテーブルのすべての行を保持しながら、左側のテーブルと結合条件に一致するデータを結びつけます。一致しない場合、左側のデータは「空(NULL)」として扱われます。

🌟 動作の例
右側(テーブルB)のデータがすべて出力されます。
テーブルAに一致するデータがあれば結合し、なければ空欄になります。

🌟 用途例
商品リスト(テーブルB)に対して、販売実績(テーブルA)を結合する場合、まだ販売されていない商品もリストに含めたいときに使用します。

完全外部結合(Full Outer Join)

完全外部結合は、両方のテーブルのすべての行を保持しながら、結合条件に一致するデータを結びつけます。一方のテーブルにしか存在しないデータも、空(NULL)として出力されます。

🌟 動作の例
テーブルAとテーブルBの両方のデータが出力されます。
結合条件に一致するデータは結びつけられ、一方にしか存在しないデータは空欄として表示されます。

🌟 用途例
顧客リスト(テーブルA)と購買データ(テーブルB)を結合して、購入の有無に関わらず、すべての顧客とすべての購入記録を確認したい場合に使用します

Looker Studioのクロス結合のメリット・デメリットと具体的な使いどころ

クロス結合(Cartesian結合)の結果は以下の通りです。すべての行がすべての行と組み合わされるため、以下のような組み合わせが発生します。

見ての通り、各「名前」に対してすべての「購入金額」が結びついています。

クロス結合は、2つのデータセットにおいて、すべての行をすべての行と組み合わせる方法です。この結合方法は、特定の条件がない場合に適用されるため、データのすべての可能な組み合わせを生成します。そのため、通常は膨大なデータ量を生み出しますが、特定の場面では有効に活用できます。

クロス結合が有効な場面の一例として、すべての組み合わせを試して結果を分析する必要がある場合が挙げられます。

例えば、商品リストと割引率リストを組み合わせて、どの割引率がどの商品に適用されるかをシミュレーションする場合です。また、統計や計算モデルを検証する際にも、すべての組み合わせを作成して分析するケースがあります。たとえば、ある顧客リストとキャンペーンのリストを結合して、すべてのキャンペーンパターンを顧客に適用した場合の効果を予測するといった状況です。

一方で、クロス結合は非常にデータ量を増やしてしまうため、不要な場面では避けるべきです。結合条件が存在する場合にクロス結合を使用すると、意図しないデータが生成され、必要な関連データを見失う可能性があります。さらに、データ量が大規模になると、システムの処理能力を超えてしまい、パフォーマンスが著しく低下するリスクもあります。たとえば、1000行のデータセット同士をクロス結合すると、結果として1,000,000行のデータが生成されるため、非常に重い処理となります。

クロス結合を適切に活用するには、その必要性とリスクをしっかりと理解した上で、具体的な目的に応じて選択することが重要です。必要のない場面では、結合キーを設定して内部結合や外部結合を用いることで、効率的かつ正確なデータ結合を実現することが望まれます。クロス結合は、すべての行を組み合わせる強力な方法である一方で、適用する場面を慎重に選ばなければならない結合方法です。

まとめ

データ結合は、Looker Studioでの分析を効率化する重要なスキルです。内部結合は共通部分を抽出し、データの正確性を高めます。外部結合は未結合データも保持し、柔軟な分析を可能にします。クロス結合は全ての組み合わせを生成するため、特定のシミュレーションや検証に役立ちますが、慎重な運用が必要です。目的に応じてこれらの結合方法を適切に選択することで、分析の質を向上させ、より深い洞察を得ることができます。

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