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プライベートIPアドレスとは?範囲・確認方法・仕組みを図解

プライベートIPアドレス

プライベートIPアドレスとは?範囲・確認方法・仕組みを図解

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パソコンやスマートフォンの設定画面で「192.168.1.5」のような数字を見かけたことはありませんか?実はこれ、あなたのデバイスに割り当てられた「プライベートIPアドレス」と呼ばれるものです。

Wi-Fiルーターの設定を変更しようとしたとき、プリンターをネットワークに接続しようとしたとき。こうした場面で「IPアドレス」という言葉に出会った方も多いのではないでしょうか。

この記事では、プライベートIPアドレスとは何か、どんな範囲の数字が使われるのか、そして自分のデバイスで確認する方法まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

プライベートIPアドレスとは?わかりやすく解説

プライベートIPアドレスとは?わかりやすく解説

プライベートIPアドレスとは、家庭や会社などの限られたネットワーク内でのみ使われるIPアドレスのことです。「ローカルIPアドレス」と呼ばれることもあります。

身近な例えで考えてみましょう。大きなマンションの住所は「東京都○○区△△1-2-3」ですが、各部屋には「101号室」「205号室」といった部屋番号がありますよね。この例えでいうと、マンション全体の住所が「グローバルIPアドレス」、各部屋の番号が「プライベートIPアドレス」にあたります。郵便物はまずマンションの住所に届き、そこから部屋番号を見て各部屋に届けられます。

会社の内線電話も同じイメージです。外部からの電話は代表番号(グローバルIPアドレス)にかかってきますが、社内では内線番号(プライベートIPアドレス)で連絡を取り合います。内線「123」は社外では通用しませんが、社内であれば問題なく使えますよね。

グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの最大の違いは「通用する範囲」です。グローバルIPアドレスは世界中で一意である必要があり、同じ番号は地球上にひとつしか存在しません。一方、プライベートIPアドレスは異なるネットワーク同士であれば同じ番号を使っても問題ありません。あなたの家の「192.168.1.5」と隣の家の「192.168.1.5」は、別々のネットワークなので共存できるのです。

プライベートIPアドレスの範囲一覧【クラスA・B・C】

プライベートIPアドレスとして使える数字の範囲は、RFC1918という国際的な規格で明確に定められています。この範囲外の数字はすべてグローバルIPアドレスとして扱われます。ネットワークの規模に応じて3つのクラスに分かれているので、それぞれ見ていきましょう。

プライベートIPアドレスの範囲一覧

クラスAの範囲(10.0.0.0〜10.255.255.255)

クラスAは最も広い範囲を持ち、約1,677万個ものIPアドレスを使用できます。大企業や大規模なデータセンターなど、膨大な数の機器を接続する必要がある環境で使われます。「10.」から始まるIPアドレスを見かけたら、それはクラスAのプライベートIPアドレスです。

クラスBの範囲(172.16.0.0〜172.31.255.255)

クラスBは中規模ネットワーク向けで、約104万個のIPアドレスを使用できます。中堅企業や大学のキャンパスネットワークなどで採用されることが多いクラスです。「172.16.」から「172.31.」で始まるIPアドレスが該当します。

クラスCの範囲(192.168.0.0〜192.168.255.255)

クラスCは小規模ネットワーク向けで、約65,000個のIPアドレスを使用できます。家庭や小規模オフィスのネットワークでは、ほとんどの場合このクラスCが使われています。

「192.168.」で始まるIPアドレスを見たことがある方は多いのではないでしょうか。家庭用のWi-Fiルーターは初期設定でこのクラスCの範囲を使うように設定されているため、「192.168.1.1」や「192.168.0.1」といったアドレスをよく目にするのです。

クラスIPアドレスの範囲使用可能数主な用途
クラスA10.0.0.0〜10.255.255.255約1,677万個大規模ネットワーク
クラスB172.16.0.0〜172.31.255.255約104万個中規模ネットワーク
クラスC192.168.0.0〜192.168.255.255約65,000個家庭・小規模オフィス

プライベートIPアドレスが生まれた理由【IPv4枯渇問題】

プライベートIPアドレスが生まれた理由【IPv4枯渇問題】

では、なぜプライベートIPアドレスという仕組みが必要になったのでしょうか?その答えは、インターネットの爆発的な普及にあります。

想像してみてください。1980年代、インターネットはまだ研究者や一部の技術者だけが使う特別なものでした。当時設計されたIPv4(現在主流のIPアドレスの規格)では、約43億個のIPアドレスを用意すれば十分だと考えられていました。

しかし現代では、パソコン、スマートフォン、タブレット、ゲーム機、スマートテレビ、さらにはエアコンや冷蔵庫までがインターネットに接続する時代です。世界人口が80億人を超え、一人が複数のデバイスを持つ現代では、43億個では到底足りません。

この「IPアドレス枯渇問題」を解決するために生まれたのが、プライベートIPアドレスという考え方です。「すべての機器にグローバルIPアドレスを割り当てる必要はない。家庭内や社内のネットワークでは、専用の番号を使い回せばいい」というシンプルな発想でした。

この仕組みのおかげで、インターネットに接続する「入り口」となるルーターにだけグローバルIPアドレスを割り当て、その配下にある複数の機器はプライベートIPアドレスを共有できるようになりました。家族4人がそれぞれスマートフォンやパソコンを使っていても、必要なグローバルIPアドレスは基本的に1つだけで済むのです。

プライベートIPアドレスの仕組み【NATとルーターの役割】

ここで疑問が浮かびませんか?「プライベートIPアドレスは組織内でしか使えないのに、どうやってインターネットに接続できるの?」と。

実は、プライベートIPアドレスを持つ機器は、そのままではインターネットと通信できません。インターネット上では、プライベートIPアドレスは「存在しないもの」として扱われるからです。そこで活躍するのが「NAT(Network Address Translation)」という仕組みと、それを担うルーターです。

NATの役割を通訳者に例えてみましょう。あなたは日本語しか話せませんが、海外の友人と手紙のやり取りをしたいとします。通訳者に頼んで日本語の手紙を英語に翻訳してもらい、届いた英語の返事を日本語に翻訳してもらう。NATはまさにこの通訳者のような働きをしています。

具体的には、あなたのパソコン(192.168.1.5)がWebサイトを見ようとすると、まずルーターにリクエストが届きます。ルーターは「192.168.1.5から来たリクエスト」を記録しつつ、自分のグローバルIPアドレスを使ってインターネットに接続します。Webサイトからの返事が届くと、ルーターは記録を元に「これは192.168.1.5宛て」と判断し、あなたのパソコンに届けてくれるのです。この一連の変換作業は一瞬で行われるため、普段は意識することなくインターネットを使えます。

プライベートIPアドレスの確認方法【Windows・Mac・スマホ】

自分のデバイスに割り当てられているプライベートIPアドレスを確認してみましょう。OS別に手順を紹介します。

Windowsでの確認方法

Windowsでは「コマンドプロンプト」を使う方法が簡単です。キーボードの「Windowsキー + R」を押して「cmd」と入力し、Enterキーを押すと黒い画面が開きます。そこで「ipconfig」と入力してEnterを押すと、「IPv4 アドレス」の数字があなたのプライベートIPアドレスです。

設定画面からも確認できます。「設定」→「ネットワークとインターネット」→ 接続中のネットワークの「プロパティ」で表示されます。

Macでの確認方法

Macの場合は、Appleメニューから「システム設定」→「ネットワーク」を開き、接続中のネットワークをクリックするとIPアドレスが表示されます。ターミナルで「ifconfig」コマンドを使う方法もあります。

スマートフォンでの確認方法

iPhoneは「設定」→「Wi-Fi」→ 接続中のネットワーク名の右にある「i」マークをタップすると確認できます。Androidは「設定」→「ネットワークとインターネット」→「Wi-Fi」→ 接続中のネットワークの詳細から確認できます。

プライベートIPアドレスのセキュリティ上のメリット

プライベートIPアドレスには、IPアドレスの節約以外にセキュリティ面のメリットもあります。

プライベートIPアドレスを持つ機器は、インターネット側から直接アクセスすることができません。外部からの通信は必ずルーターを経由する必要があるためです。マンションのオートロックのように、ルーターが「門番」として不審な通信をブロックしてくれます。

ただし、フィッシングサイトへのアクセスや悪意あるソフトウェアのダウンロードなど、内部からの脅威は防げません。ウイルス対策ソフトの導入やOSのアップデートなど、基本的な対策も忘れずに行いましょう。

まとめ

この記事では、プライベートIPアドレスについて解説してきました。

プライベートIPアドレスとは、家庭や会社などの限られたネットワーク内で使われるIPアドレスです。マンションの部屋番号や会社の内線電話のように、その組織内でのみ通用する「内部の住所」だと考えるとわかりやすいでしょう。

使用できる範囲は3つのクラスに分かれており、家庭でよく見かける「192.168.」で始まるアドレスはクラスCに該当します。この仕組みは約43億個しかないIPv4アドレスを節約するために生まれ、ルーターのNAT機能によってインターネット接続が可能になっています。

ぜひこの機会に、自分のパソコンやスマートフォンのIPアドレスを確認してみてください。「192.168.」や「10.」で始まる数字が表示されれば、それがあなたのプライベートIPアドレスです。

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