IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者のデジタル化支援を目的とした政府の助成プログラムです。特に、2回目の申請には、適用される条件、必要な注意点、そしてそれぞれの枠毎のルールが存在します。この記事では、2回目の申請を考える事業者が知っておくべき重要情報を分かりやすく解説します。
IT導入補助金の申請の流れを確認したい方はコチラの記事でもまとめていますので、 ぜひご覧下さい。
IT導入補助金の2回目の申請が可能な条件
IT導入補助金の2回目の申請は、前回の経験を活かし、さらなるビジネスの成長を目指す企業にとって大きなチャンスです。2回目の申請が可能な事業者の条件、必要な準備、そして申請プロセスの概要について解説します。
IT導入補助金の基本情報と2回目の申請について
IT導入補助金の制度では、中小企業や小規模事業者がデジタル化を推進するためのサポートとして、複数回の申請が可能です。2024年度の公募要領によると、事業者は通常枠に加え、インボイス枠やセキュリティ対策推進枠など、特定の条件下で異なる枠への申請を行うことができます。ただし、過去にIT導入補助金2022または2023の通常枠で交付を受けた事業者は、交付決定日から12ヶ月以内に再度通常枠での申請を行うことができません。
このように、2回目の申請が可能かどうかは、事業者の過去の申請状況や選択する枠によって異なります。2回目の申請を行う際には、過去の採択状況を踏まえ、複数枠での申請にあたってのルールや注意点を理解することが重要です。不採択となった場合や、交付決定後にプロジェクトを取り下げた場合は、次回の締切りまでに新たな申請が可能ですが、補助対象経費の二重計上など不正行為を避けるための注意が必要です。
IT導入補助金の2回目の申請プロセスには、適切な準備と正確な情報が求められます。申請前には、最新の公募要領を確認し、適用可能な枠を選定するとともに、必要な書類や申請条件を満たしていることを確認する必要があります。
IT導入補助金の2回目申請が可能な事業者とは
IT導入補助金制度は、中小企業や小規模事業者がデジタル化を進めるための経費の一部を支援するものです。2024年度の公募要領によると、様々な枠組みが設けられており、事業者はその条件を満たすことで2回目の申請が可能です。
インボイス枠(インボイス対応類型および電子取引類型)
インボイス制度に対応した会計ソフトや受発注ソフトの導入をサポートします。特に、インボイス対応のITツールを導入し、それを利用して取引を行う中小企業や小規模事業者に対して補助が提供されます 。
セキュリティ対策推進枠
サイバーセキュリティ対策の強化を目的としたITツールの導入をサポートします。この枠組みは、サイバー攻撃から事業を守るために必要なセキュリティ関連のサービスやソフトウェアの導入費用の補助を対象としています。
通常枠
通常枠では、業務効率化や売上向上に資する様々なITツールの導入が支援されます。これには、会計ソフト、CRM(顧客関係管理)システム、ECサイト構築ツールなどが含まれます。
過去に採択された事業者も、新たな申請が可能であれば、再度支援を受けることができます。ただし、各枠ごとに定められた条件や要件を満たす必要があります。また、過去に不採択となった事業者でも、要件を満たせば申請することが可能です。重要なのは、申請前に最新の公募要領を確認し、必要な準備を整えることです。
2回目の申請を検討する事業者は、これらの枠組みの条件を理解し、自社に合った枠を選択して申請することが成功の鍵となります。さらに、申請プロセスを進める中で、公募要領に記載された手続きや必要書類に注意を払い、適切な準備を行うことが重要です。
IT導入補助金2024年度の2回目申請可能条件の最新情報
通常枠の2回目の申請について
申請単位
交付申請期間中に中小企業・小規模事業者等(1法人または1個人事業主)あたり1回のみ申請可能。
IT導入補助金2024のインボイス枠及びセキュリティ対策推進枠との複数申請が可能。
IT導入補助金2022または2023で通常枠やデジタル化基盤導入枠で交付決定を受けた事業者は、交付決定日から12ヶ月以内の申請不可。
申請回数
不採択の場合や交付決定後にプロジェクトを取り下げた場合は、次回以降の締切りまでに再申請可能。
インボイス枠(インボイス対応類型及び電子取引類型)の2回目の申請について
申請単位
交付申請期間中に中小企業・小規模事業者等(1法人または1個人事業主)あたり1回のみ申請可能。
他の枠(通常枠、セキュリティ対策推進枠)との複数申請が可能。
IT導入補助金2022または2023で特定の枠で交付決定を受けた事業者は、交付決定日から12ヶ月以内の申請不可。
申請回数
不採択の場合や交付決定後にプロジェクトを取り下げた場合は、次回以降の締切りまでに再申請可能。
セキュリティ対策推進枠の2回目の申請について
申請単位
交付申請期間中に中小企業・小規模事業者等(1法人または1個人事業主)あたり1回のみ申請可能。
他の枠(通常枠、インボイス枠)との複数申請が可能。
IT導入補助金2022または2023で特定の枠で交付決定を受けた事業者は、交付決定日から12ヶ月以内の申請不可。
申請回数
不採択の場合や交付決定後にプロジェクトを取り下げた場合は、次回以降の締切りまでに再申請可能。
これらの情報は、IT導入補助金2024年度の具体的なルールを理解する上で重要です。各枠において、申請単位と申請回数の規定をしっかりと把握し、適切に申請準備を行ってください。
過去の採択状況に基づくIT導入補助金の2回目申請戦略
IT導入補助金の2回目申請を考える際、過去の採択状況は重要な指標となります。成功への道を切り開くため、特に注意すべきポイントを深掘りしていきます。適切な枠の選択から避けるべき一般的な落とし穴まで、申請過程での重要な注意事項を詳しく解説し、事業者が再申請に成功するためのガイドラインを提供します。
IT導入補助金の過去の採択状況が2回目の申請に与える影響
IT導入補助金の過去の採択状況は、2回目の申請に大きく影響します。前回の申請で採択された企業は、成功の経験を活かし、さらなる改善や拡大を目指すことができます。一方で、不採択となった場合でも、得られたフィードバックを基に、申請内容の見直しや強化を行うことで、次回の申請成功の可能性を高めることができます。
重要なのは、過去の申請結果を単なる結果として捉えるのではなく、次へのステップとして活用することです。過去に採択された事業者は、その時に提出した申請書類や事業計画の内容を見直し、どの点が評価されたのか、どういった部分が事業の成長に寄与したのかを分析することが重要です。また、不採択となった場合は、提出した内容にどのような問題があったのか、または事業環境の変化にどう対応すべきかを検討する必要があります。
2回目の申請を成功させるためには、これらの分析を基に、より具体的で、実現可能性の高い事業計画を立案することが求められます。さらに、申請書類においては、過去の経験をどのように次のステップに活かしていくのかを明確に示すことがポイントとなります。また、補助金の利用によって達成しようとする目標や、事業の持続可能性への貢献など、より大きな視野での計画の説明が求められるでしょう。
IT導入補助金2回目の申請や複数申請を成功させるためには?
複数枠での申請
IT導入補助金2024年度では、事業者は複数の枠(通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠)での申請が可能です。これは、異なるビジネスニーズに対応するための柔軟性を提供しますが、同時に、各枠の規定を正確に理解し遵守する必要があります。特に、各枠には独自の条件や要件が設けられており、これらを満たさなければなりません。
例えば、インボイス対応類型では、インボイス制度に対応した会計ソフトの導入が必要ですが、セキュリティ対策推進枠では、サイバーセキュリティ対策のためのITツールが対象となります。
不採択や交付決定後の取り扱い
不採択となった場合や交付決定を受けた後にプロジェクトを取り下げることは可能ですが、これらの状況は今後の申請に影響を及ぼす可能性があります。不採択の場合、得られたフィードバックを基に申請内容を見直し、次回の締切りまでに改善して再申請することが重要です。一方、交付決定後にプロジェクトを取り下げた場合、その理由と状況によっては、将来の申請に際して慎重な準備が求められるかもしれません。特に、計画の実現可能性や申請内容の信頼性に影響を与えるため、再申請時にはこれらの点を強化する必要があります。
二重計上の問題
補助金の申請においては、補助対象経費の二重計上を避けることが絶対に必要です。これは、複数枠で申請する場合に特に注意が必要な点であり、申請する各プロジェクト間で経費が重複しないようにする必要があります。二重計上は不正行為と見なされ、申請の不採択や交付後の補助金の返還命令につながる可能性があります。そのため、申請書類の作成時には、提出する各プロジェクトの経費項目を慎重に検討し、重複がないことを確認することが重要です。
IT導入補助金:過去の採択実績と2回目申請の加点・減点項目
今回は、IT導入補助金2024の通常枠を例にして加点・減点項目をまとめてみました。その他の枠についても、公募要領に記載がありますので下記のリンクを参考に確認してみて下さい。
加点項目:
1)地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得していること。
2)交付申請時点で地域未来牽引企業に選定されており、目標を経済産業省に提出していること。
3)導入するITツールとしてクラウド製品を選定していること。
4)導入するITツールとして「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を選定していること。
5)導入するITツールとしてインボイス制度対応製品を選定していること。
6)補助金申請額150万円未満の申請者で、事業計画期間において賃上げ要件を満たす計画を策定・実行すること。事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上にした場合は更に加点。
7)補助金申請額150万円以上の申請者で、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上にしていること。
8)令和5年度に「健康経営優良法人2024」に認定されていること。
9)「地域DX促進活動支援事業」における支援コミュニティ・コンソーシアムから支援を受けた事業者であること。
10)介護保険法に基づくサービス事業所で、介護職員等特定処遇改善加算を取得しているものを運営している法人。
11)女性活躍推進法に基づく「えるぼし」認定、次世代法に基づく「くるみん」「プラチナくるみん」認定を受けていること。
減点項目:
1)IT導入補助金2022及び2023のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)で交付決定を受けた事業者。
2)IT導入補助金2024のインボイス枠で申請中または交付決定を受けた事業者。選択されたITツールと同一機能のものを導入する場合は更に減点。
3)IT導入補助金2024以降で賃上げ計画による加点を受けて採択されたが、要件を達成できなかった事業者。
4)中小企業庁所管の他補助金で、賃上げ計画による加点を受けて採択されたが、要件を達成できなかった事業者。
今回の内容は、下記のIT導入補助金ホームページにある公募要領でも確認できます。内容については更新される場合もございますので、申請の際は必ず公募要領を確認しましょう。
[1] IT導入補助金2024 公募要領 通常枠, サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局(TOPPAN株式会社), https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/r5_koubo_tsujyo.pdf, 2023年3月15日改訂版
[2] IT導入補助金2024 公募要領 インボイス枠(インボイス対応類型), サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局(TOPPAN株式会社), https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/r5_koubo_invoice.pdf, 2023年2月16日版
[3] IT導入補助金2024 公募要領 インボイス枠(電子取引類型), サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局(TOPPAN株式会社), https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/r5_koubo_denshi.pdf, 2023年2月16日版
[4] IT導入補助金2024 公募要領 セキュリティ対策推進枠, サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局(TOPPAN株式会社), https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/r5_koubo_security.pdf, 2023年3月15日改訂版
まとめ
IT導入補助金の2回目の申請は、過去の申請結果や選択する枠ごとのルールを理解することが成功への鍵です。申請プロセスを進めるにあたり、申請単位や申請回数の制限、加点・減点項目を把握し、適切な準備と正確な情報提供が必要となります。この記事が、事業者がIT導入補助金の2回目の申請を成功させるための参考になれば幸いです