WordPressの保守とは?費用相場と頼まなかったときにかかるお金

この記事のポイント
- 保守は「何も起きない状態」を支える仕事
- 自社管理でも毎月の作業時間が必要
- 復旧費は月額保守費とは別に発生する
- バックアップの有無で復旧方法が変わる
- 月額だけでなく被害時の費用と比べる
記事の概要
WordPressの保守費用を払い続けるべきか迷っている、中小企業の経営者・兼任担当者に向けた記事です。
この記事でわかること
- WordPress保守の具体的な作業内容
- 自分で保守するときの手間
- 保守費用と改ざん後の復旧費の違い
本記事の費用や事例は、記載した公開情報と弊社事例に基づきます。サイトの状態や契約内容によって、必要な作業と費用は異なります。
保守の判断で見るべき3つ
- 月額で何をしてもらえるか
- 自分で続けるとどれだけ手間がかかるか
- 被害後の復旧にいくらかかるか
1. WordPressの保守とは
保守とは、サイトに「何も起きない」状態を保ち続ける仕事です。
WordPressは公開したら完成ではなく、本体やプラグインには継続して更新が出ます。
更新を放置すると古い仕組みが残る一方で、確認せずに更新すると表示が崩れることもあります。
保守では、更新、バックアップ、動作確認を継続し、問題が起きた際に戻せる状態も整えておきます。
保守・運用・復旧の違い
保守、運用、復旧は、目的と作業の時点が異なります。
区分 | 目的 | 主な作業 |
|---|---|---|
保守 | 問題を予防する | 更新、バックアップ、動作確認 |
運用 | サイトを活用する | 情報更新、改善、アクセス分析 |
復旧 | 発生した問題に対処する | 原因調査、除去、再構築、復元 |
保守は問題が起きる前の備えであり、運用は公開後にサイトを育てる活動です。
復旧は改ざんや不具合が起きた後に行うもので、通常の保守とは別作業になる契約もあります。
保守契約があっても、復旧費がすべて月額内とは限らないため、契約前に対応範囲を確認してください。
保守がうまくいっているほど、効果は見えにくい
保守では作業の成果が売上のように表れず、問題なく表示される日常そのものが成果です。
弊社が保守しているお客様のサイトでは、保守しているため、特に何も起きていません。
この状態だけを見ると月額費用が不要に感じられますが、その裏では更新や確認が続いています。
何も起きなかった月も作業がなかった月ではなく、問題を予防し、復旧できる状態を保った月です。
2. WordPress保守で行う作業
WordPress保守では、更新だけでなく、確認と復旧の準備まで行います。
ここでは、弊社の保守で行っている七つの作業を紹介します。
1. WordPress本体・プラグインのアップデート
WordPress本体とプラグインを適切な時期に更新します。プラグインとは、機能を追加するための拡張プログラムです。
更新には不具合の修正や安全性の改善が含まれるため、更新後は表示や機能に問題がないかも確認します。
テスト環境で更新を試す方法
テスト環境とは、公開中のサイトに影響を与えず、更新を試せる複製環境です。
更新前にテスト環境で試すと不具合を公開前に見つけられるため、テストしてから更新する保守会社もあります。
後述する弊社の二件目の復旧事例でも、以前の作業で作ったテスト環境を利用できました。
2. 定期的なバックアップの取得
問題が起きたときに正常な状態へ戻せるよう、サイトのファイルや必要なデータを保存します。
取得するだけでなく、保存先や保存期間も重要になるため、復元まで対応範囲に入るか確認してください。
3. PHPのバージョンやサーバー環境の確認
PHPはWordPressを動かすためのプログラミング言語であり、サーバー上のPHPにもバージョンがあります。
WordPress側の要件とサーバー環境を確認し、古い環境を放置せず、更新に備えてください。
4. サイトの表示・動作確認
主要なページを開いて表示状態を確かめ、フォームなどの機能も対象に応じて確認します。
更新が完了してもサイトが正常とは限らないため、利用者と同じ視点で動作を見ることが必要です。
5. 不具合発生時の原因調査・復旧対応
不具合が起きた際は、更新内容、サーバー環境、プラグインなどを確認し、原因を切り分けます。
原因に応じて修正や復元を行うため、契約ごとに調査・復旧の範囲を確かめてください。
6. 軽微な作業
テキスト修正や画像差し替えなどを行い、小さな更新をためず、正しい情報を保ちます。
軽微な作業の定義は保守会社によって異なるため、月額内の回数や範囲を確認してください。
7. サイトが止まっていないかの監視
弊社の保守では、閲覧できない状態を把握して対応へつなげるため、サイトが止まっていないかを監視します。
サイトの停止は利用者から連絡を受けるまで気づけないことがあるため、継続的な監視によって異変を捉えます。
作業ごとの主な頻度
作業 | 主な頻度 |
|---|---|
WordPress本体の更新 | 更新が出たとき |
プラグインの更新 | 更新が出たとき |
バックアップの取得 | 毎月 |
PHP・サーバー環境の確認 | 毎月 |
サイトの表示・動作確認 | 毎月・更新後 |
原因調査・復旧対応 | 不具合のとき |
テキスト修正・画像差し替え | 随時 |
サイトが止まっていないかの監視 | 随時 |
実際の頻度はサイトの構成や契約内容で変わるため、頻度だけでなく、実施後の報告方法も確認してください。
3. WordPress保守を自分で行うと、どれくらいかかるか
自分で保守すれば月額費用は減りますが、作業時間と判断の責任が残ります。
弊社の実測は、サイト一つで毎月1〜5時間
弊社の旧自社サイトはWordPressで運営しており、使用していたプラグインは数個です。
毎月、次の作業を行っていました。
- WordPress本体のバージョン管理
- PHPとWordPressの要件確認
- プラグインの確認と更新
- 前月分のバックアップ
これらの管理には毎月1〜5時間かかっており、Web制作会社が管理した場合の弊社実測です。
時間に幅がある理由は月ごとの更新内容であり、確認だけで済む月と、慎重な検証が必要な月があります。
更新ボタンを押す時間だけではなく、事前確認、バックアップ、更新後の確認までが保守です。
専門外の兼任担当者が行うなら調べる時間も加わり、問題が出た際は原因を判断する作業も必要です。
放置期間が長いと、直す前の準備が増える
弊社が引き継いだサイトを直そうとした際、サーバーのPHPが古すぎる事例がありました。
そのままでは弊社の開発環境と条件が合わず、すぐに編集へ進める状態ではありませんでした。
そこで、特定の動作条件を再現する仕組みである仮想環境を用意しました。
サーバーとWordPressのバージョンを本番に合わせて正常な動作を確認し、その後、少しずつ編集しました。
長く放置したサイトでは、変更作業の前に環境を再現するなど、安全に触れるための準備にも手間がかかります。
自分で行うなら最低限確認すること
自社で保守する場合は担当者と実施日を明確にし、そのうえで次の作業を継続してください。
- WordPress本体とプラグインの更新を確認する
- 更新前にバックアップを取得する
- バックアップの保存先を確認する
- 更新後に主要ページと機能を確認する
- PHPとWordPressの要件を確認する
担当者が変わった際に前回の実施内容を追えるよう、作業記録も残してください。
「誰かが見る」では作業が止まりやすくなるため、担当者、頻度、手順を決めることが最低条件です。
4. WordPress保守をしないと、いくらかかるか
保守がない状態で改ざんされると、復旧ではなく作り直しになることがあります。
弊社が対応した改ざんの実例を二つ紹介します。どちらもWordPressへ侵入された事例です。
サイトは英語の別サイトに書き換えられていましたが、運営会社は自社では被害に気づけませんでした。
いずれも、取引先から指摘されて発覚しました。
事例1:複製がなく、約20ページを作り直した
一件目は別の制作会社が作ったサイトで、納品後は社内の誰も管理していませんでした。
制作会社とのやりとりも途絶えており、その状態で侵入され、英語の別サイトへ書き換えられました。
復旧に使えるサイトの複製は残っていませんでしたが、Figmaにはデザインデータが残っていました。
FigmaはWebサイトなどの画面を設計するツールであり、そのデータを基に約20ページを作り直しました。
弊社の事例では、復旧費用は約50万円でした。
事例2:偶然残っていたテスト環境から復旧した
二件目もWordPressへ侵入された事例で、サイトは英語の別サイトに書き換えられました。
弊社との保守契約はありませんでしたが、以前に弊社がスポット作業を行っていました。
その際に作成したサイトの複製であるテスト環境が、偶然弊社に残っていました。
その複製を新しいサーバーへ載せ替え、続いてドメインの向き先を変更してサイトを復旧しました。
弊社の事例では、復旧費用は約20万円でした。
二つの事例の比較
状況 | 復旧方法 | 弊社事例の費用 |
|---|---|---|
サイトの複製なし | デザインデータから約20ページを再制作 | 約50万円 |
サイトの複製あり | 新サーバーへ載せ替えて復旧 | 約20万円 |

二件の大きな違いはサイトの複製が残っていたかどうかであり、二件目は偶然残っていた環境に助けられました。
事業のサイトを偶然に委ねるべきではないため、保守によって意図して複製を残す必要があります。
バックアップがあっても正常な時点のデータか確認が必要になるため、取得日と保存先も管理してください。
費用以外に、信用も失う
二社とも取引先に指摘されるまで気づけず、自社サイトの異変を外部から知らされた形です。
会社の窓口であるサイトが別の内容になれば閲覧者は不安を感じるため、復旧費だけでなく信用にも影響します。
更新を長く止めるほど、一度に直す範囲が広がり、復旧や変更の手間も増えます。弊社が引き継いだ事例では、古いPHPに合わせて環境を用意し、正常に動く状態を確かめてから編集しました。
保守の価値は被害を考える機会を減らすことではなく、異変への備えを日常の業務に組み込むことです。
5. WordPress保守費用の相場と「高いか」の考え方
月額だけでなく、何も起きなかった月の価値と復旧費で比べてください。
公開されているWordPress保守費用
以下は各社が公開している情報ですが、サービスの範囲が異なるため、金額だけでは比較できません。
出典 | 初期費用 | 月額 | 補足 |
|---|---|---|---|
WPセンター | 平均26,000円 | 平均34,008円 | 12社集計。初期費用は最安0円、最高80,000円。月額は最安8,800円、最高88,000円 |
WP KEEPER | ― | 22,000円〜 | 公開ページ記載額 |
ビークリエイト | 0円 | 34,800円〜 | サーバー込み。公開ページ記載額 |
金額を見る際は作業範囲を並べ、特に更新後の修正と復元対応の有無を確認してください。
保守は、制作費への保険
お客様が弊社へ保守を頼む理由は、保険のようなものだからです。
会社のサイトはお金を払って制作した資産であり、保守はその制作費を払った状態で終わらせないための支出です。
正常なサイトの複製を残しておけば復旧の選択肢が増え、環境を把握していれば原因調査にも着手しやすくなります。
ただし、保守は被害を完全に防ぐ保証ではなく、被害への備えと、復旧しやすい状態を維持する仕事です。
「お金がかかる」をどう考えるか
弊社が保守を断られる理由は主に「お金がかかるから」であり、その判断自体は不自然ではありません。
毎月の支出は見える一方で、起きなかった問題の金額は見えないため、保守費用だけが目立ちます。
判断するときは、公開されている月額料金と約50万円の作り直しを並べてください。
約50万円は弊社が実際に対応した一事例の費用であり、すべてのサイトに当てはまる相場ではありません。
さらに、自社で行う場合は担当者の作業時間が必要になるため、外部へ頼まなくても保守コストはゼロになりません。
比較すべきなのは、次の三つです。
- 保守会社へ支払う費用
- 自社で継続する作業時間
- 問題発生後の調査・復旧費用
保守費用が高いかどうかは金額だけでは決まらないため、どこまで任せられるかを含めて判断してください。
6. WordPress保守を頼むときに確認すること
保守を頼む前に、平常時と被害時の対応範囲を確認してください。
「バックアップあり」という説明だけでは不十分であり、取得したデータを使った復元まで含むかが重要です。
確認項目 | 契約前に聞く内容 |
|---|---|
更新の頻度 | 毎月か、更新のたびか。緊急時はどう対応するか |
更新後の不具合 | 修正は月額費用に含まれるか |
バックアップ | 何を、どこへ、どの頻度で保存するか |
復元対応 | バックアップからの復元まで含まれるか |
被害時の対応 | 原因調査と復旧のどこまで対応するか |
監視 | サイトが止まったときに気づく仕組みがあるか |
改ざん検知 | サイトの改ざんを検知する仕組みがあるか |
連絡と対応時間 | 連絡手段は何か。不具合時にどれくらいで対応するか |
契約期間と解約 | 最低契約期間はあるか。途中解約の条件は何か |
作業報告 | 毎月の作業内容について報告があるか |
契約終了時 | ログイン情報とバックアップを受け取れるか |
デザインデータ | サイトのデザインデータを手元に残せるか |
契約前には、次の質問をそのまま伝えてください。
「更新後に不具合が出たときと、改ざんから復旧するときは、どこまで月額費用に含まれますか?」
回答は口頭だけでなく契約書や提案書でも確認し、追加費用が発生する条件も明確にしてください。
ログイン情報はWordPressだけではないため、サーバーとドメインの管理情報も整理してください。
サイトを移管するときはこれらの情報が必要になるため、契約終了後も自社で管理できる状態を保ってください。
安い保守を選ぶときの注意点
月額の安さだけで選び、対応範囲を確認していないと必要な作業が契約に含まれないため、金額と作業内容を並べて確認してください。
バックアップがあっても復元が含まれていなければ、元に戻す作業は別途必要になるため、取得だけでなく復元までの範囲を確認してください。
更新後の不具合の修正が別料金になっている契約もあるため、更新と修正を一つの作業と考えず、費用の条件を確認してください。
最低契約期間や追加費用を確認せずに契約すると、途中解約や不具合対応で想定外の支出が生じるため、契約期間と追加料金の条件を先に確認してください。
弊社の一件目の事例では、サイトの複製がなく、約20ページの作り直しに約50万円かかりました。安さだけでなく、問題発生後に戻せる契約かを見てください。
7. WordPress保守についてのよくある質問
費用だけで決めず、自社で担える作業と被害時の対応を基準にしてください。
保守はお金がかかるので迷っています
何も起きていない月にも費用を払い続けるのは、もったいないと感じるのが自然です。
しかし、保守は問題が起きた後だけの作業ではなく、「何も起きない状態」を支えることに価値があります。
判断するときは、自分で行う手間と、何かあったときの復旧費を並べてください。弊社の旧自社サイトでは毎月1〜5時間の管理作業が必要で、改ざん事例では約50万円の再制作費が発生しました。
約50万円は弊社の一事例であり、一般的な相場ではありません。すべてを任せる必要はないため、自社サイトの規模に合った範囲で依頼してください。
WordPress保守を自分で行う場合の最低限は?
最低限、更新、バックアップ、保存先の確認、更新後の動作確認、PHP要件の確認が必要です。
詳しくは「3. WordPress保守を自分で行うと、どれくらいかかるか」のチェックリストを確認してください。
担当者と実施日を決め、実施した内容は引き継げる形で記録してください。
サイトを作った制作会社以外にも、保守は頼めますか?
別の会社にも依頼できますが、最初にサイトの状態を調査する必要があります。
引き継ぎにはWordPress、サーバー、ドメインのログイン情報が必要になるため、デザインデータも手元に用意してください。
環境が古い場合は編集前の準備が増え、弊社事例でも本番に合わせた仮想環境を作りました。
依頼先には、調査費用と引き継ぎ範囲を確認してください。
保守を頼めば、絶対に被害にあいませんか?
いいえ。保守を頼んでも、被害を完全にはなくせません。
保守の役割は日常的な更新と確認を続けると同時に、被害後に戻せる状態を準備することです。
バックアップと環境情報が整っていれば復旧方法を検討できるため、早期発見のための確認も続けてください。
8. まとめ
保守は、月額費用、自社で行う手間、復旧費の三つで判断してください。
改めて、保守の判断で見るべき項目を整理します。
- 月額で何をしてもらえるか
- 自分で続けるとどれだけ手間がかかるか
- 被害後の復旧にいくらかかるか
WordPress保守の価値は派手な成果ではなく、サイトに何も起きない状態を支えることです。
同時に問題が起きたときに戻せる状態を残し、サイトの複製を偶然ではなく意図して保管してください。
自分で続けるか、外部へ任せるか、サイトを見直すか迷う場合は、次の記事も参考にしてください。
WordPressのセキュリティ対策|最低限と継続の判断基準
株式会社iTechでは、サイトの規模に合わせた保守のご相談を承っています。
WordPress本体とプラグインの更新、環境確認、動作確認、不具合対応を行い、毎月のファイルバックアップにも対応しています。
現在の管理状況が分からない場合も、まず情報を整理します。依頼範囲を決めるための相談からお声がけください。
本記事は保守契約による安全性や復旧を保証するものではありません。実際の対応範囲と費用は、サイトの状態や契約内容をご確認ください。
執筆者
株式会社iTech
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